症例

症例1 子宮環境の改善で妊娠に至ったと思われる症例

45歳 女性

体外受精2回。1度目は妊娠兆候なし、2度目は1年前、稽留流産となり手術を行った。

当院初診時は凍結卵(胚盤胞)が1つあり、西洋医学的検査では問題なく病院では次の周期で移植できるとの

判断だったが、しっかりと身体を整えた上で移植に臨みたいとの希望で移植に向け鍼灸治療を行うこととした。

週1回の鍼灸治療と自宅で毎日のお灸、生活習慣改善(寝る時間を早くする)を4か月継続し移植。移植前後の

「着床鍼」も行い妊娠に至った。妊娠後も安胎(妊娠の継続と安産、産後の肥立ちをよくする)の為に鍼灸治

療を週1回継続し、無事出産された。

【考察】

流産の手術後1年は経過していましたが、舌診、腹診で瘀血(血流の滞り)の兆候が見られました。また生理

の出血量がここ数年少なくなっていること、生理周期が短くなっている事から子宮内膜を厚くするホルモンの

分泌が不十分なのではとも考えました。治療では瘀血を無くし、子宮周りの血流を改善するアプローチ、卵巣

への命令系統である視床下部ー脳下垂体系への治療をメインに行いました。週1回の来院や自宅灸などご本人

がコツコツ努力されたことも大きかったと感じています。

 

 

症例2 受精卵の状態を良くして妊娠に至ったと思われる症例

41歳 女性

体外受精6回。1回着床するも妊娠継続に至らず。数カ月来、採卵で変性卵や空胞のことがある。

仕事柄(CA)、睡眠時間・食事時間の不規則やストレスが強い状態が続いており胃腸の不調も頻繁。加齢による染色体異常は避けられないことを理解しつつ、良い卵子が出てくることを待ちながら採卵を続けることへの

不安を抱えながら当院に来院。

仕事のスケジュールと相談しながら、可能な時は週1~2回、最低でも低温期・高温期1回づつ来院。3か月後の

採卵で胚盤胞凍結に至り、6か月後の移植で妊娠に至った。妊娠後は週1回来院で安胎治療を継続し、30週で逆

子が発覚するも逆子の鍼灸治療を行い、32週で頭位となり40週で無事出産された。

【考察】

脈診、腹診、舌診や生理痛、経血の状態から瘀血が考えられ、ストレスや寝不足が起因すると思われる身体の

上部への熱のこもりも強く見られました。治療は瘀血および身体の熱や血流の偏在を解消するアプローチをメ

インに行い、胃腸の調整も組み込んでいきました。お仕事と治療の両立の中で、忙しい時は無理せず「鍼灸治

療に行けない」というストレスを感じないようセルフケアのアドバイスや治療中お話を聞いたり笑っていただ

くよう心掛けた事も良かったと思います。

 

症例3 血流改善と男性不妊の改善によって妊娠に至ったと思われる症例 

53歳 男性

クリニックでの不妊検査で精索静脈瘤が発覚。2年前に精索静脈瘤の手術を受ける。

術後の精液検査で正常値をキープしてタイミング療法が半年経った頃に鍼灸治療を開始。

2週間に1度のペースで 約4ヶ月継続。

その後治療の段階として体外受精を選択。奥様の排卵日に合わせて治療頻度や間隔をつめ治療。

2回の体外受精を得て、見事子宝に恵まれる。

 【考察】

こちらの患者様は、夜勤もある不規則な仕事・飲酒が息抜きだったため、かなり身体の体質状態としては改善の余地がありました。

飲酒は身体に湿熱を溜める原因となりやすく、睡眠の質も精子の質も悪くしやすいです。

治療の中では瀉血と言ってこの旺盛になった湿熱をとっていく治療をベースに、ホルモンの司令塔・自律神経の中枢ともなる頭にもしっかり刺鍼をして体質改善を図りました。

鍼灸治療の開始からの期間としては年齢的にも状態的にもとても早い段階での改善かと思います。

排卵日とのタイミングを上手く合わせ、良い時期に集中的に治療ができた点も子宝に恵まれた秘訣だと思います。